平成26年度 開催分

 

 開催報告:平成26年度 第6回 新宿deがんサロン とぽす「お薬について」

 

開催日:2015年3月19日(木)
開催場所:当院6階カフェテラス

 

2014年度第6回目の「新宿deがんサロン とぽす」が開催されました。初めて抗がん剤治療を行う方にとって、「抗がん剤治療を始めるとどんな体調の変化があるのだろうか」「一般的な薬との“飲み合わせ”は大丈夫だろうか」などの不安な気持ちを持たれるのは当然のことです。そこで今回は当院薬剤部の薬剤師から、がん治療における薬についての様々な疑問にお答えしました。

 

講師:
東加奈子(薬剤部・薬剤師)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
品田雄市(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)
鈴木豊(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)

 

参加者のお一人は、膵臓がんで手術ができるか抗がん剤治療を始めるか、担当医師が検討を行っています。初めての経験なので抗がん剤というものを知りたいというご質問です。抗がん剤はがんの増殖を抑える治療で、点滴や内服薬で治療を行いましょう。主には通院にて治療を行います。手術で根治が期待できる場合には、その後に行う抗がん剤の治療は期間を限定して行います。手術で根治が期待できない場合は、抗がん剤の治療を継続して行います。体のだるさや味覚の変化など副作用は薬の種類によって異なります。



別のお二人の参加者の方からは、今の時期、花粉症の症状に悩まされているが、がん治療に関連する薬とアレルギーの薬を飲み合わせてよいものだろうかというご相談です。薬の相性の場合、その“仲の悪さ”にも程度の差がありますが、いずれにしても市販薬も含めた薬の飲み合わせは注意して行う必要があります。飲む前に当院の主治医や薬剤部に電話でご相談いただければ「相互作用」が調べられ、飲み合わせによる危険性を避けることができます。

参加者のお一人は自家製の”体調管理ノート“を作って、病院で抗がん剤治療を行った日や毎日飲んでいる薬を正確に記しています。それだけでなく、診察時に医師への質問とその答え、また薬剤師とのやりとりも欠かさず記録しています。医師だけでなく薬剤師にとってもこうした記録は貴重な判断材料になりますので、みなさんもぜひ習慣としていただくことをお勧めします。できたら、毎日の体温や血圧などの簡単なデータのほか、痛みやしびれ、だるさなど患者さん本人にしか把握できないデータを記しておいていただくと、大変役に立つ情報となります。薬剤部と薬剤師をもっとご活用いただき、お役に立てればこれに勝る光栄はありません。


 開催報告:平成26年度 第5回 新宿deがんサロン とぽす 「1人暮らしは“いきがい”が大切」

 

開催日:2015年1月15日(木)
開催場所:当院6階カフェテラス

 

2014年度第5回目の「新宿deがんサロン とぽす」が開催されました。日本では少子高齢化が進む中で1人暮らしの世帯が急激に増えています。自宅で療養生活を送られている患者さんも同じようにお1人で生活されている方が多くなりつつあります。そうした場合、“いきがい”がないという悩みに直面される方がかなりの数いらっしゃいます。そこで今回はどのように“いきがい”を見つけるかについて話し合いました。

 

講師:
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
坂根透子(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)

今回参加された方はデイホームで傾聴ボランティアをされています。福祉施設などで入居者の方のお話を聞く役目です。最近、入院したり体調が悪かったりして半年ぐらい行けなかったのですが、体調が少し回復したので久しぶりにデイホームに顔を出しました。「そうしたら、入居者のお年寄りが何人もすごく喜んでくれました」。職員の方も「何もしなくてただ入居者の横に座ってくれればいいから、顔だけでも見せて」と言ってくれたそうです。「私がいる間ずっとそばにいる人もいます」。この方は社会的にとても大切なことを担っているわけです。しかし、この方にとっても社会貢献、社会参加という“いきがい”になっています。ご自分の体調と相談しながら無理をせずに活動していただければと思います。



1人暮らしの友達や知人の家を訪ねたり電話で話を聞くという方もいらっしゃいます。この方の場合、友達や知人が相手なのでより個人的な深い内容の話を聞くことになります。「家族や将来のことは自分の問題でもあるから真剣に耳を傾けます」。ご自分も1人暮らしですが、「それだからこそ、人との会話が少ない寂しさや不安が理解できます」とおっしゃいます。ご自分のことだから“痛み”がわかるということです。ボランティアという公的なものではありませんが、これも1つの社会貢献と言えるでしょう。この場合も一生懸命やりすぎないようにアドバイスさせていただいています。疲れない程度にやれば気分転換になりますが、疲れて体調が悪くなるほどやりすぎるのは元も子もありません。



人の話を聞くことは実は自分のためにもなります。1人暮らしで自宅療養を行うのは大変なことです。1人でいるとどうしても病気と向き合ってしまい、病気主体の生活になってしまいがちです。しかし、「話を聞く」ことで自分が人の役に立っている。ひいてはそれが自分の存在理由の発見となっていることで、病気を生活の主体にしていないことにつながります。今回は会話が“いきがい”になっている例をご紹介しましたが、“いきがい”は人によって異なります。ぜひとも自分なりの“いきがい”を見つけて、充実した生活を送っていただきたいと思います。

 

 開催報告:平成26年度 第4回 新宿deがんサロン「治療中のお食事」

 

去る11月13日(木)、当院6階のカフェテリアで2014年度第4回目の「新宿deがんサロン とぽす」が開催されました。抗がん剤の治療中には副作用による食欲不振、吐き気、口内炎などの症状や、味覚や食事の好みの変化などが現れます。そこで今回は、当院栄養管理科の管理栄養士から食欲を湧かせる工夫や、がん治療に対して「食べる」ことの大切さなど、抗がん剤治療中の食事についてさまざまな情報をお伝えしました。お話のあとにはつらい口内炎の症状にやさしい食事メニューの試食会が行われました。

 

講師:
榎本眞理(管理栄養士・栄養管理科科長)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
坂根透子(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)

 

入院での抗がん剤治療を終えた直後から数日間は、副作用によって食事を摂ることのできない患者さんがほとんどですが、2~3日経つと吐き気やだるさ、めまいなどが落ちついてきて食欲も徐々に回復してきます。しかし、多くの患者さんは副作用が続いたり、味覚や食事の好みに変化を生じることがあります。当院では、栄養士はそうした症状に合わせて個別に対応するため、変化をきめ細かくチェックし、できるだけ食欲が湧くような食事を患者さんにご提供しています。

 


退院後は通院での抗がん剤治療に移ります。入院中は病院の食事で万全な栄養管理が行われていましたが、ご自宅では患者さんご自身やご家族が管理を行わなくてはいけません。なかには食欲が湧かないからと食事をおろそかにしてしまわれる方もいらっしゃいますが、その方には「食事を摂るということは今の体力を衰えさせないためだけでなく、がんを治療するためにも栄養を摂るのに必要なことです」。そして、ほかの治療は病院でしかできないが、食事療法は患者さんご自身でできる治療ということを認識してほしいと述べました。「そうした食事習慣を行うことで『自分自身でも治療にベストを尽くしている』という自信と充実感が湧き、日々の生活も前向きになれます」。

 


今回のサロンに参加された患者さんはいずれも通院治療中の方々です。みなさんからは「家での食事はどのようにしたらいいのですか」という質問が寄せられました。これに対して栄養士からは、基本的な1食当たりのメニューと食事量をお話しました。しかし、患者さんによって嗜好や量に個人差があるので、ご希望であれば、がん相談窓口を通して当院の栄養士が個別に相談をお受けいたします。

 

 

続いて、口内炎にやさしいメニューの試食会に移りました。口内炎は口の周りや口内に傷ができるので、お酢や塩などのしみる刺激物や、口の内側などにくっついてしまう食べ物は避けます。試食会に出たメニューは、それに配慮したはんぺん、クリームシチュー、コーンスープ、野菜の煮つけなど。参加されたみなさんからは「食べやすく、美味しい」と好評をいただきました。

 

 開催報告:平成26年度 第3回 新宿deがんサロン「在宅療養について」

 

去る9月18日(木)、当院6階のカフェテリアで、2014年度第3回目の「新宿deがんサロン とぽす」が行われました。近年、がん患者さんの中では病院に入院して治療するより、ご自分のおうちで普通の生活をしながら治療したいというご要望が多くなっています。そこで今回、「在宅療養」をテーマに保健師・介護支援専門員と医療ソーシャルワーカーから、実際に在宅療養を行うための準備や方法などさまざまな情報をご提供しました。

 

講師:
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
坂根透子(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)

 

サロンではそのためにまずご自宅の近所に「かかりつけ医」を持つことを提案しました。病院の主治医と近所の主治医を持つことによって、もし寝たきりになって在宅療養が必要になった場合でも、速やかに医師の訪問診療に切り替えることができます。かかりつけ医が訪問診療を行わない医師でも、地域の医療ネットワークで在宅医療を行う医師を紹介してくれます。また、在宅療養を安心に行うために、看護師による訪問看護という方法もあります。

 


また、在宅療養を受ける場合、介護保険を利用する方法もあります。サロンではその方法についてもご説明しました。病気は安定していても高齢により日々の生活に手伝いが必要になってきたと思ったら、早めの介護認定申請をお勧めします。それというのも申請から認定まで1カ月ほどかかるからです。申請のご相談はお住まいの市区町村の「地域包括支援センター」に行いましょう。

 


今回参加されたみなさんは、今のところはお元気に外出や社会活動をされている方でしたが、「将来的にいつ必要になるかわからないから、すごく参考になりました」とコメントされました。また、「今入院中の方で自宅で療養したいという方にも重要な情報ですね」と話されていました。当院のがん相談窓口では在宅療養や介護申請についてご相談にお応えしていますので、お気軽にご相談ください。

 

 開催報告:平成26年度 第2回 新宿deがんサロン「リハビリテーションについて②」

 

去る7月17日(木)、当院6階のカフェテリアで、2014年度第2回目の「新宿deがんサロン とぽす」が行われました。今回のテーマも前回に続き「リハビリテーション」で、今回のゲスト講師は理学療法士歴20年以上の大ベテランの山中邦裕でした。体力が衰えないように効果的で、しかも無理のない簡単なストレッチを3種類紹介しました。そのあとの「おしゃべりサロン」では、がん相談窓口のスタッフと参加者のみなさんが運動と同じく大切な食事の工夫と栄養について話し合いました。

 

講師:
山中邦裕(理学療法士)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
鈴木豊(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)
坂根透子(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)

 

山中邦裕・理学療法士は最初に「運動はやらなくてもよくないし、やりすぎてもよくないので、普段からちょっとずつできて、毎日続けられる簡単な運動をやっていきましょう」と話してから、椅子に座ってできる3種類の運動を説明しました。1つが「背伸び」で両腕を上に伸ばしてそのまま10秒止める。これを毎日1回。2つ目が「指先そらし」で片手を手のひらを上にして前に上げて、もう片方の手で指先をそらす。もう片方の腕も同じように。これも毎日1回。3つ目が「足伸ばし」で椅子に座ったまま、膝を伸ばして足先を手前にそらす。これを両足10回ずつ。毎日3回。簡単にできて無理のないストレッチに、参加者のみなさんは真剣に取り組んでいました。

 



 

 

 

 


また、スタッフとは運動とともに食事や栄養の大切さも話し合われ、「手術のあと自宅療養中の食事の内容をどのようにしたら、回復に役立つのか相談したい」とか「治療中だから好きなものは我慢しなければならないけど、できれば美味しいものが食べたい」などの意見が出ました。こうしたご意見を検討したいと思っています。

 

 開催報告:平成26年度 第1回 新宿deがんサロン「リハビリテーションについて①」

 

5月15日(木)、当院6階のカフェテラスで、本年度第1回目のがん患者サロンが開催されました。今回のテーマは「リハビリテーション」。ゲスト講師の作業療法士と言語聴覚士から、当院のリハビリテーションの紹介や最新のリハビリの考え方についての説明、日々の生活で役立つ自助具やグッズの実演等が行われました。さらに、がん相談窓口の医療ソーシャルワーカーから、地域で受けられる介護サービスなどの説明を行いました。

 

講師:
太田とし江(作業療法士)
杉森紀与(言語聴覚士)
原田なな子(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)
鈴木豊(がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー)

 

 

 

 

 

★次回は7月17日(木)に、理学療法士による続編を行う予定です。
 皆さんのご参加をお待ちしています。