平成30年度 開催分

 

 平成30年度 第2回「乳がんと暮らし」

 

開催日:2018年7月10日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

がんの種類の中でも、乳がんは特に、診断、治療、経過観察、再発・転移などさまざまな場面で、患者さん自身が「意思決定」しなければならないことが多いのが特徴です。しかし、自分で意思決定することは、患者さん自身が納得できる選択を行うことになり、病気を受け止め、がんとともに生きていくための自信がつくことにもつながります。

今回は乳がん看護認定看護師から、乳がん患者さんが意思決定するべきさまざまなことについてご説明しました。

 

講師:
三原由希子(乳がん看護認定看護師)
川島美由紀(看護部副看護部長・がん看護専門看護師)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

患者さん自身が意思決定することはまた、選択の過程で乳がんの治療や療養生活に関する理解を深め、自己を取り巻く状況の変化に正しく対処することができます。

 

看護相談で多いのが「意思決定」の悩み

2017年、看護相談には136件の相談が寄せられました。特に多い内容が「告知後の混乱や不安」「治療選択に関する意思決定」「術式選択に関する意思決定」です。選択に関する意思決定の相談が多いことが分かります。
治療および術式の選択肢には次のようなものがあります。治療を受ける病院/診断のための検査(針生検・マンモトーム・生検など)/手術術式(乳房の温存・乳房切除・再建)/センチネルリンパ節生検/術前化学療法/乳房再建/術後補助療法/再発・転移後の治療法の選択(化学療法・内分泌療法・症状緩和・療養場所など)。

 

乳がんと暮らし

 

「見た目」の悩み多い乳がん

また、先ほどの相談内容に次いで多いのが、「乳房喪失後の身体の補整方法などボディイメージの変容」「乳房再建の情報」「化学療法・内分泌療法の副作用に対するセルフケア方法」「リンパ浮腫に対するセルフケア」です。このように乳がんの場合、アピアランス(見た目、外観)に関する悩みが多いのが特徴です。見た目の変化により、外出するのが億劫になったり、仕事に行きたくなくなったり、人と会うのが嫌になったりということを多くの乳がん患者さんは経験しています。私たち医療者にとって、こうした悩みをケアすることも重要な役割です。

 

乳房再建は保険適応になっており一般的な手術ですが、再建手術を行うかどうか迷う患者さんも少なくありません。方法や経過には色々な例がありますので、再建についてどのように考えるかということもご相談いただけます。
上肢リンパ浮腫は発症すると見た目ももちろんですが、日常生活のさまざまなことに影響を及ぼします。まず予防することが大切であり、予防方法を一緒に考えたり、初期症状が出てしまった時に早期に対処できることが重要です。また、内分泌療法の副作用は、一般的には更年期症状様のものなので、周りの人にはそのつらさは分かってもらえないのが患者さんの悩みです。
私たち医療者は、こうした症状の予防や改善の相談に対して、すぐに対応できる体制を構築していきたいと考えています。

 

乳がんと暮らし

 

正しい乳がん情報は医療者に相談

今、乳がんについての情報がインターネットなどを中心に氾濫しています。そうした情報は科学的根拠のないものが多くあります。そうした情報によって迷ったり悩んだりしている方が非常に多くいらっしゃいます。乳がん看護認定看護師や看護師、あるいはソーシャルワーカーを通して聞いてもらうなど、正しい情報を入手することが大切です。直接調べたい方へのアドバイスですが、日本乳癌学会が『患者さんのための乳癌診療ガイドライン』を公開しています。日本乳癌学会のホームページから閲覧が可能です。

 

 平成30年度 第1回「食事と栄養 ~治療に負けない身体をつくろう~」

 

開催日:2018年5月8日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

がんの治療における栄養の重要性が今、見直されてきています。適切な栄養管理ができていないことで「低栄養状態」の身体状況となり、がんの治療継続が困難になったり、予後が不良になったり、生活の質を低下させてしまうことになりかねません。

 

そこで今回は、食事を通して患者さんをサポートしている管理栄養士が、患者さんご自身でできる栄養管理についてご説明しました。

 

講師:
杉山恵子(管理栄養士)
川島美由紀(看護部副看護部長・がん看護専門看護師)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

 

食欲不振の時の栄養補充の方法とは

化学療法や放射線療法などのがん治療が始まると、副作用による気持ちの悪さ、嘔吐、胃の不快感などの症状が現れます。そういう場合の対処法をご紹介しましょう。

 

がんサロン

 

食欲不振で食べられない状態が続くと体重減少が起こります。それを防ぐためのキーポイントをご紹介します。

それでも食欲が湧かない場合、量を増やさずにカロリーを補うため、高カロリーの食品を活用します。

以上のような食べ方は、あくまでも食欲が湧かない場合の栄養補充のためのものです。食欲が戻ったらなるべく普段通りの食生活を心掛けましょう。毎食、主食(炭水化物)と主菜(たんぱく質)、野菜(ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取します。主食はごはん、パン、めん。主菜は肉・魚・卵、大豆製品。野菜はきのこ・海草・こんにゃくも含みます。また、毎日、乳製品(牛乳、ヨーグルト)と果物を摂るようにしましょう。

 

がんサロン

サロンで椅子を使った筋肉トレーニングを紹介

 

患者さんご自身の栄養管理が重要

低栄養状態にしないためには、患者さんご自身で栄養管理を行うことが必要です。定期的な体重測定の実践が基本となります。もし、急激に体重が減少していくようならば、すぐに主治医や栄養士に相談しましょう。また、栄養管理は単に食事だけを管理するだけでなく、摂取した栄養を効率よく身体のために役立てるように、適度な運動も必要です。例えば、簡単な体操や散歩などの有酸素運動をできる限り実践することや、最近は簡単な筋肉トレーニングもできる範囲で行うことも推奨されています。(運動については、医師に確認してから行ってください。)