平成30年度 開催分

 

 平成30年度 第5回「アドバンス・ケア・プランニング」

 

開催日:2019年3月12日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

最近、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」という言葉を、いろいろなところで耳にするようになりました。厚生労働省はこれに「人生会議」という愛称を付けて普及に努めています。意味は、患者さんの将来の意思決定能力の低下に備えて、患者さんやご家族と医療者がケア全体の目標や具体的な治療・療養について話し合うプロセス(過程)のことで、言い換えれば「“もしも”のための話し合い」です。今回は緩和ケア認定看護師がACPはどういうものなのか、どういうふうに進めていけばいいのかを説明しました。

 

講師:
池谷清香(緩和ケア認定看護師)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

 

 

「縁起でもない」と考えずに
そういう人がいて意思決定の代理人を担ってくれるということになったら、その人とできるだけくわしく話し合いましょう。それというのも、患者さんが「最期は眠るように穏やかに過ごしたい」と望んでいても、代理人が「最期の時まで話がしたい」と考えて医療者にそう伝えれば、患者さんの意思は叶いません。だから、患者さんは意志を“渡す準備”、代理人は“受け取る準備”をしておかなければなりません。
しかし、日本人の多くは、このように最期の時のことをあらかじめ考えておくことについて「縁起でもない」という感想を持つでしょう。しかし、縁起でもないということで何の準備もしないで、患者さんが望まない最期を迎えることは非常に残念なことです。

 

アドバンス・ケア・プランニング

 

元気なうちに「大切にしたいこと」を家族や医療者と共有
がん患者さんの場合、体の機能は比較的長い期間保たれていますが、最後の2カ月で急速に機能が低下することが多いのです。ここに至ってからACPに取り組むのは精神的に体力的にもとてもつらいと思います。
そのために、冒頭でお話したように、元気なうちから家族や大事な人たちに、患者さん自身の価値観や人生観、大切にしたいことなどを伝えておくことが大切なのです。 限りある自分の人生の最期に何を望み、どう過ごすかなどを、家族や医療者と共有することで、最期の瞬間まで自分らしく過ごせるのです。この「医療者と共有」というところも重要な部分です。主治医の指示の通りに治療を受ける、または、主治医が一生懸命治療を行ってくれているから、体がつらくても治療をやめたいとは言えない。日本人特有のはっきり意志を伝えられないで我慢してしまう国民性です。
しかし、主治医はできるだけ患者さん自身の意思に沿うようにしたいと考えています。パワーがいる作業ですが、頑張って意思を伝えるようにしましょう。

 

アドバンス・ケア・プランニング

 

意志は変化してもかまわない
自分の意思を整理しておくのにとてもいいものがあります。東京都福祉保健局が発行している冊子「東京都緩和ケア連携手帳~わたしのカルテ~」です。この中に「わたしが大切にしたいこと」というページがあります。これは医療や介護担当者に知っておいてほしいと思うことを記しておくノートです。「お気持ちが変わったら、書き直していただいてもかまいません」と書かれています。
これはこのノートのことだけに留まりません。一度、意思決定の代理人に意思を伝えたら変えてはいけないことはないのです。病状や体の調子が変化していくのに合わせ、意思も当然変わっていきます。だから、繰り返し変わった意思を伝えてかまいません。 このページの最後に「万が一、命にかかわる急変が起こり、これ以上回復の見込みがないと医師に判断された時、心臓マッサージや人工呼吸器をつけること(心肺蘇生術)を希望しますか?」という質問があります。ACPでは特に重要な意志の決定です。これも繰り返し意志を変更してもかまいません。

 

最後まで「自分らしく」輝く
大切にしていただきたいことをお話しします。

アドバンス・ケア・プランニングについては、お気軽に緩和ケア医療部、またはがん相談窓口(総合相談・支援センター内)にご相談ください。

 

 平成30年度 第4回「リハビリテーション」

 

開催日:2018年11月13日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

外科手術や化学療法、放射線療法などのがん治療を終えて自宅での日常生活に復帰したとき、入院前にはできていた色々な作業ができないことに気付いて愕然とする患者さんが多いと思われます。がん治療を行ったことによって考えていた以上に体力が下がっていたり、痛むところがあったり、動きにくくなっていることが原因です。そのために入院中のみならず、退院してからも自宅で、できる限りリハビリテーションを行って、体力の回復を行うことが大切です。今回は作業療法士がリハビリの重要性と自宅でできるリハビリ体操について説明しました。

 

講師:
太田とし江(作業療法士)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

 

治療が終わってしばらくすると、主治医からリハビリ再開の指示が私たち作業療法士に来ます。そこから本格的なリハビリが始まります。とは言っても、初めからハードなリハビリは行いません。治療で弱くなった体の状態に合わせて、少しずつリハビリのレベルを上げていきます。
がん患者さんの手術による運動能力の低下は、がんの種類によって大きく異なります。乳がんの場合は手が動かしにくくなったり、肺がんの場合は開胸手術を行うことが多いので、呼吸がしにくくなったり体全体が動きにくくなったりすることがあります。また、腹部の手術をした場合は全身の力が弱くなる傾向があります。そうした患者さん個人の症状に合わせたリハビリを行うのが、作業療法士の大きな役割です。

 

リハビリテーション

 

ここでは主婦の方をイメージしてシミュレーションしてみます。
治療が終わって病院でリハビリをして退院します。久々に自宅に戻って、入院前と同じように家事をやろうと、料理を作り、掃除をし、洗濯をする。すると、「あれ? 何でこんなに体がだるいのかしら?」とか「何でこんなに何もできなくなったのかしら」など、自分の体力や筋力の低下に驚かれる方が多くいらっしゃいます。「もしかして、がんが再発したのではないのか」と心配する方もいます。
これは以前の自分のイメージを持ったまま、現在の自分を見ているために起こるギャップです。病院ではがんを治すためだけに全てを集中するので、家事は全くやっていません。体力はすっかり落ちています。そんな状態で自宅に戻り、以前のように家事をしようとしても、すぐに疲れてしまう。以前の自分と比べて体力が落ちていることを、すっかり忘れているのです。

 

まずは、そうした自分の状態をしっかり認識することが大切です。そして、無理をしないで疲れない程度の家事から始めるようにしましょう。まずは朝食を作ってみるとか、お風呂の掃除をしてみるとか。できる範囲から少しずつ始めていきます。その間、家事は家族に代行してもらいましょう。患者さんの様子を見れば、ご主人も家事を代わることを厭わないはずです。できることを増やしていく中で、徐々に体力や気力が出てきます。
もう1つは生活のリズムを整えることが大切です。入院中はほとんどベッドで寝ている生活で、体力は落ちていきます。そこで、自宅に戻ったら、できるだけベッドから離れるようにしましょう。もちろん、疲れたらすぐにベッドに横になって休むことが必要ですが、寝ていることを生活の基本とすると体力はますます落ちていってしまいます。
そうしたベッド中心の生活から離れるために、入院中ずっと着ていたパジャマを脱いで、日中は家に誰が訪ねてきても恥ずかしくないような服装を着ましょう。それで、生活の中心をリビングルームにして、家族と一緒に過ごし、できる範囲の家事を行う。疲れたらベッドで休む。寝室にこもっていてはいけません。
このようにして生活のリズムを整えることが大切です。日中はできるだけ眠らずに、夜はしっかり眠り、朝はきちんと起きることでリズムが整っていきます。

 

リハビリテーション
⑥の棒を使ったリハビリ体操

 

では、自宅でできる簡単なリハビリ体操をご紹介しましょう。
決まった回数はありませんので、無理しない程度でお好きな回数行ってください。
体操は椅子に座って行います。

 

①前で両手を伸ばして組みます。両腕を頭の上に上げます。この時、息を止めないようにして、胸を突きだすようにしましょう。両腕が頭の上に上がったら、背もたれに寄りかかって思い切り背伸びをします。それからゆっくり両腕を降ろします。

 

②太ももを上げて大きく足踏みをしましょう。次に足首の運動です。床に踵を付けたまま、つま先を上げ下げします。

 

③両腕を上に上げて、ゆっくり降ろします。次に、右腕を左の肩に掛けて、左手で右の肘を押します。これは右の肩甲骨から右腕全体を伸ばすための運動です。反対側も同じように行います。

 

④両手をぶらんと降ろしたまま、肩を上げ下げします。

 

⑤次は肩甲骨を開くための運動です。肘を曲げたまま両腕を上に上げます。肘を耳に付けるようにしてから、両肘を左右に開きます。この時、肩甲骨の間に力を入れるようにしましょう。ゆっくり降ろします。肩こりを改善する効果のある運動でもあります。

 

⑥次は道具を使います。1日分の新聞紙を固く丸めて端をテープで留めます。これで棒ができます。同じような長さと太さの棒があったら、それを使うこともできます。この棒の両端をそれぞれ両手で握って、肘を伸ばしたまま上げて下げる。これを繰り返します。 次に、頭の上に上げた両腕を頭の後ろに降ろします。これで上げ下げします。 次に、棒を握ったまま両腕を前に伸ばし、そのまま両腕を伸ばしたまま左右に回します。 次に、棒を握ったまま両腕を前に伸ばし、そのまま両腕を伸ばしたまま左右に回します。

 

⑦次は立って椅子の後ろ側に回りましょう。背もたれを両手でつかみ体を支えます。この姿勢のまま、踵を上げ下げします。次に両足を肩の幅ぐらいに開いて、腰を降ろします。スクワットです。コツはお尻を突き出さないよう、自然に腰を降ろすこと。無理をしない範囲で降ろせるところまでで構いません。これだけで足の筋肉トレーニングになります。

 

「リハビリ、リハビリ」と思わないで、気軽にお家でできることから始めてみましょう。

 

 平成30年度 第3回「お金と暮らし」

 

開催日:2018年9月11日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

現在、日本では男性の2人に1人、女性の2.5人に1人が、がんの診断を受けるという時代になっています。また、がんの患者さんの3人に1人は、働ける年齢というデータがあります。20歳から64歳のいわゆる就労可能年齢の方たちでがんに罹る方は、年間に約25万人いると言われています。経済的問題を抱えている患者さんのうち、ある一定の患者さんは、がん治療を断念、あるいは薬の処方の時期を遅らせている現状もあります。今回はそうした経済的問題を軽減するためのさまざまな公的制度を、がん相談窓口の医療ソーシャルワーカーが説明しました。

 

講師:
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

 

 

乳がんと暮らし

 

自己負担限度額を超えた分が払い戻される「高額療養費」

まず、「高額療養費」制度についてですが、ひと月(1日~月末)に支払った医療費の自己負担額が一定金額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分が後で払い戻される制度です。対象者は公的医療保険の被保険者および被扶養者です。公的医療制度とは国民健康保険や協会けんぽ、健康保険組合などです。自己負担限度額は被保険者の年齢や所得の状況によって設定されます。払い戻しの申請は公的医療保険の担当窓口に行います。払い戻しは診療月から通常2~3カ月以上かかると言われています。
高額療養保険制度のメリットを実際の活用例でご説明します。肺がん治療ではザーコリという薬を使用する場合があります。ザーコリは1錠当たりが約1万1,700円。これを1日当たり2錠服用するということになると、1カ月で約70万円かかります。自己負担額が3割の方の場合、約21万円です。そこで高額療養費制度を活用すると、自己負担額は約8万4,430円になり、後で差額分約12万5,570円が払い戻されます。
この後での払い戻しが手間になるということから、医療費を支払う時点でその金額が自己負担限度額内に抑えられるという仕組みがあります。「限度額適用認定証」制度というもので、対象者は70歳未満です。事前に発行された認定証を病院や薬局に提示することで、自己負担限度額までの支払いで済みます。なお、この制度が利用できる基本的条件は保険料の未払いがないことです。

70歳以上の方は仕組みが異なります。医療保険証を公的医療保険の窓口に提示してもらえば、基本的に自動的にひと月の自己負担限度額内の支払いで済むようになっています。ただ、低所得で住民税非課税の方は、事前に保険の窓口で「限度額適用・標準負担額減額認定証」を交付してもらって、それを病院や薬局に提出することによって、一定所得より低く設定された自己負担限度額以内に抑えられます。

 

乳がんと暮らし

 

「傷病手当金」は給与の3分の2相当額

次は「傷病手当金」という制度です。協会けんぽや健康保険組合の被保険者が対象で、国民健康保険の被保険者は対象外です。会社勤めの方が病気やけがのために仕事を休んだことで、事業主から給与が支払われない方のために、次の4つの条件全てに該当した場合、最長1年6カ月間、1日当たり、被保険者の標準報酬日額の3分の2相当額の支払いを受けられるものです。条件は①病気やけがで休んでいる、②働けない、③連続する3日間を含み4日以上働けない、④休みの間、給与の支払いがない。申請窓口は協会けんぽや健康保険組合の担当窓口です。

 

「障害年金」は初診日から1年6カ月後に申請

次は「障害年金」という制度です。「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。障害基礎年金は認定された障害の等級に応じて、一定額の障害年金が受給できる仕組みです。対象は障害等級1級、2級に該当する方です。障害厚生年金も認定された障害の等級に応じて、一定額の障害年金が受給できる仕組みです。対象は障害等級1級、2級に該当する方、また、厚生年金法施行令別表第1の3級のいずれかに該当する方です。障害厚生年金は障害基礎年金と並行して受給が可能です。
級の目安としては、3級が傷病によって働くことが難しい方、2級は生活の一部に介助を要する方、1級は日常生活全て介助が必要な方となっています。
では、がんの患者さんの場合、どのような方が該当するのかということになります。例えば、抗がん剤によって、だるさ、気持ち悪さ、吐き気、下痢、貧血、体重減少など全身に副作用の影響が出て、仕事ができないとか日常生活が厳しいなどであれば、該当する可能性があります。ただ、この障害年金はそういう状態になればすぐに申請ができるというわけではありません。基本的に初診日から1年6カ月経過した時が初めて申請できる時期です。初診日とは初めてがんに関わる診察を受けた日です。詳細に関しては年金事務所や役所の国民年金課にお問い合わせください。

 

もし、経済的問題でお困りのことがあれば、当院の医療ソーシャルワーカーにご相談ください。一緒に考えていきましょう。

 

 平成30年度 第2回「乳がんと暮らし」

 

開催日:2018年7月10日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

がんの種類の中でも、乳がんは特に、診断、治療、経過観察、再発・転移などさまざまな場面で、患者さん自身が「意思決定」しなければならないことが多いのが特徴です。しかし、自分で意思決定することは、患者さん自身が納得できる選択を行うことになり、病気を受け止め、がんとともに生きていくための自信がつくことにもつながります。

今回は乳がん看護認定看護師から、乳がん患者さんが意思決定するべきさまざまなことについてご説明しました。

 

講師:
三原由希子(乳がん看護認定看護師)
川島美由紀(看護部副看護部長・がん看護専門看護師)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

患者さん自身が意思決定することはまた、選択の過程で乳がんの治療や療養生活に関する理解を深め、自己を取り巻く状況の変化に正しく対処することができます。

 

看護相談で多いのが「意思決定」の悩み

 

2017年、看護相談には136件の相談が寄せられました。特に多い内容が「告知後の混乱や不安」「治療選択に関する意思決定」「術式選択に関する意思決定」です。選択に関する意思決定の相談が多いことが分かります。
治療および術式の選択肢には次のようなものがあります。治療を受ける病院/診断のための検査(針生検・マンモトーム・生検など)/手術術式(乳房の温存・乳房切除・再建)/センチネルリンパ節生検/術前化学療法/乳房再建/術後補助療法/再発・転移後の治療法の選択(化学療法・内分泌療法・症状緩和・療養場所など)。

 

乳がんと暮らし

 

「見た目」の悩み多い乳がん

また、先ほどの相談内容に次いで多いのが、「乳房喪失後の身体の補整方法などボディイメージの変容」「乳房再建の情報」「化学療法・内分泌療法の副作用に対するセルフケア方法」「リンパ浮腫に対するセルフケア」です。このように乳がんの場合、アピアランス(見た目、外観)に関する悩みが多いのが特徴です。見た目の変化により、外出するのが億劫になったり、仕事に行きたくなくなったり、人と会うのが嫌になったりということを多くの乳がん患者さんは経験しています。私たち医療者にとって、こうした悩みをケアすることも重要な役割です。

 

乳房再建は保険適応になっており一般的な手術ですが、再建手術を行うかどうか迷う患者さんも少なくありません。方法や経過には色々な例がありますので、再建についてどのように考えるかということもご相談いただけます。
上肢リンパ浮腫は発症すると見た目ももちろんですが、日常生活のさまざまなことに影響を及ぼします。まず予防することが大切であり、予防方法を一緒に考えたり、初期症状が出てしまった時に早期に対処できることが重要です。また、内分泌療法の副作用は、一般的には更年期症状様のものなので、周りの人にはそのつらさは分かってもらえないのが患者さんの悩みです。
私たち医療者は、こうした症状の予防や改善の相談に対して、すぐに対応できる体制を構築していきたいと考えています。

 

乳がんと暮らし

 

正しい乳がん情報は医療者に相談

今、乳がんについての情報がインターネットなどを中心に氾濫しています。そうした情報は科学的根拠のないものが多くあります。そうした情報によって迷ったり悩んだりしている方が非常に多くいらっしゃいます。乳がん看護認定看護師や看護師、あるいはソーシャルワーカーを通して聞いてもらうなど、正しい情報を入手することが大切です。直接調べたい方へのアドバイスですが、日本乳癌学会が『患者さんのための乳癌診療ガイドライン』を公開しています。日本乳癌学会のホームページから閲覧が可能です。

 

 平成30年度 第1回「食事と栄養 ~治療に負けない身体をつくろう~」

 

開催日:2018年5月8日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

 

がんの治療における栄養の重要性が今、見直されてきています。適切な栄養管理ができていないことで「低栄養状態」の身体状況となり、がんの治療継続が困難になったり、予後が不良になったり、生活の質を低下させてしまうことになりかねません。

 

そこで今回は、食事を通して患者さんをサポートしている管理栄養士が、患者さんご自身でできる栄養管理についてご説明しました。

 

講師:
杉山恵子(管理栄養士)
川島美由紀(看護部副看護部長・がん看護専門看護師)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)

 

食欲不振の時の栄養補充の方法とは

化学療法や放射線療法などのがん治療が始まると、副作用による気持ちの悪さ、嘔吐、胃の不快感などの症状が現れます。そういう場合の対処法をご紹介しましょう。

 

がんサロン

 

食欲不振で食べられない状態が続くと体重減少が起こります。それを防ぐためのキーポイントをご紹介します。

それでも食欲が湧かない場合、量を増やさずにカロリーを補うため、高カロリーの食品を活用します。

以上のような食べ方は、あくまでも食欲が湧かない場合の栄養補充のためのものです。食欲が戻ったらなるべく普段通りの食生活を心掛けましょう。毎食、主食(炭水化物)と主菜(たんぱく質)、野菜(ビタミン、ミネラル)をバランスよく摂取します。主食はごはん、パン、めん。主菜は肉・魚・卵、大豆製品。野菜はきのこ・海草・こんにゃくも含みます。また、毎日、乳製品(牛乳、ヨーグルト)と果物を摂るようにしましょう。

 

がんサロン

サロンで椅子を使った筋肉トレーニングを紹介

 

患者さんご自身の栄養管理が重要

低栄養状態にしないためには、患者さんご自身で栄養管理を行うことが必要です。定期的な体重測定の実践が基本となります。もし、急激に体重が減少していくようならば、すぐに主治医や栄養士に相談しましょう。また、栄養管理は単に食事だけを管理するだけでなく、摂取した栄養を効率よく身体のために役立てるように、適度な運動も必要です。例えば、簡単な体操や散歩などの有酸素運動をできる限り実践することや、最近は簡単な筋肉トレーニングもできる範囲で行うことも推奨されています。(運動については、医師に確認してから行ってください。)