東京医科大学病院




平成29年度 開催分

  • 開催報告:平成29年度第2回 
     「がん患者さんのための夏バテ予防の食事」

開催日:2017年7月11日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

連日の猛暑のため、健常な人でも夏バテになってしまう今の季節、病気療養中のがん患者さんは特に注意を要します。夏バテを防ぐためには、日頃から行っているがん治療のための食事の仕方を、より一層きちんと守ることが大切です。食事を通して患者さんをサポートしている管理栄養士ががん治療のための食事の仕方をご説明しました。

講師:
浦上理絵(管理栄養士)
川島美由紀(看護師長・がん看護専門看護師)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)



がんの治療中には嘔吐や悪心、胃の不快感など様々な副作用が現れます。そうした副作用がある時は、無理に食べようとせずに、気分の良い時に食べられる分を食べましょう。量を腹5~6分目にしてみるのも良い方法です。また、嘔吐や悪心、胃の不快感が悪化するもの(甘いもの、油の多いもの、塩分の多いもの、刺激の強いもの)、消化に悪いものは控えましょう。栄養補助食品を使用するのも良い方法です。

特に食欲不振で体重減少が気になる方は、食べてみたいものや食べられそうなものを食べるようにしましょう。少量で高カロリーのものを使用したり、間食をとってみるのも良いと思います。

夏バテの原因の1つがエネルギー不足です。しかし、食欲不振や副作用で食事が摂れない時は、オイルやマヨネーズなどをいつもより多く使ってみたり、はちみつやジャムなどをできるだけ摂るなど工夫することをお勧めします。また、食事量が少ない方のために、少量の食事で高カロリーに出来る粉状のエネルギー補給食品(カロアップ)もあります。カロリーは砂糖と同じ量で甘みは10分の1ですので、こうしたものを利用する方法もあります。


参加者の方々からも様々なご質問が寄せられました。

Q1. 手術で胃が3分の1になりました。初めての夏を乗り切るために効率の良い栄養の摂り方を教えてください。

A1. 一度にたくさん食べられないので、分割食をお勧めします。いつもの半分量の食事を1日5~6食摂るイメージです。10時、15時、20時などの間食時に栄養補助食品や濃厚流動食を利用するのも良い方法です。

Q2. 免疫力を高める食事や食べ物を教えてください。

A2. 残念ながら食事の特効料理はありません。しかし、免疫力を高める栄養素としては、抗酸化作用のあるビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、オメガ-3系脂肪酸などがあります。これらはサバ、サケ、サンマ、マグロなどの魚や、緑黄色野菜、果物などに多く含まれているので、これらの食品をバランス良く摂りましょう。

Q3. 食べない方が良い食べ物、積極的に摂った方が良い食べ物があれば教えてください。

A3. 特定のものを制限すると偏った食事となります。食べすぎもよくありません。また、前述の魚や緑黄色野菜、果物なども、そればかりを食べ続ければ良いということではありません。普段食べる機会の少ない食品であれば、サバやサケは週1回、果物は2日に1回程度メニューに組み込んでみてはいかがでしょうか。

Q4. 添加物について教えてください。

A4. 添加物は摂らないに越したことはありませんが、添加物だけが原因でがんになるわけではありません。日本で使用が許可されている添加物は、長期間摂取し続けても人体に影響はないとされています。


最後に、がん患者さん向けの料理の試食会が行われました。食事に関してのご相談は、入院中は病棟に担当の管理栄養士がいますので、お気軽にお声をおかけください。外来通院中は栄養相談室で栄養相談を行っています。依頼状が必要なので担当医師にご相談ください。




  • 開催報告:平成29年度第1回 
     「乳がんとうまく付き合うために~からだ・こころ・くらし~」

開催日:2017年5月9日(火)
開催場所:当院本館6階第2会議室

乳がんに罹患する人は日本人女性の中では40代の方が最も多く、子育て中であったり仕事でも重要な役割を担っている時期と重なることから、生活と治療を並行して行うことが求められます。がんに囚われるのではなく「自分らしく生きる」ことが大切です。今回は治療中の患者さんが乳がんとうまく付き合うためのポイントを乳がん看護認定看護師がご説明しました。

講師:
三原由希子(乳がん看護認定看護師)
川島美由紀(看護師長・がん看護専門看護師)
志賀圭子(保健師・介護支援専門員)
小川絢多(がん相談窓口・医療ソーシャルワーカー)



さまざまながんの種類がある中で、看護認定看護師がいるのは乳がんだけです。理由としては①治療が長期間にわたりたくさんの治療を選択し受けなければならないこと、②予後が長く経過を見る必要があるからです。当院では現在、乳腺科の外来で認定看護師が乳がんの看護相談を行っています。原則的には事前予約が必要ですが、急なご相談でもお応えできる場合がありますので、お気軽にお声をお掛けください。昨年、約100件の看護相談が寄せられました。相談内容としては「告知を受けた後の混乱や不安」、「治療をどのように決めれば良いか」、「乳房喪失をどのように受け止めれば良いか」のほか、さきほど述べたような生活と仕事のこと、また、再発の不安などの相談もメンタルな相談が多いです。

乳がんを告知されると、当然のことながらほとんどの方が動揺し落ち込みます。しかし、2週間ほど経つと気持ちが落ち着き、現実に直面して治療を始める心構えができます。ここで大切なのは「自分で意思決定すること」です。主治医、看護師、ご家族、友人、そしてわれわれ認定看護師などに相談しましょう。納得のいくまで相談し情報を集めて、その中から自分として納得できる選択を“自分で”決定することでがんとともに生きていくための自信が付くことにつながります。また、さまざまな人に相談し情報を集める中で、乳がんの治療や療養生活に関する理解が深まり、自分を取り巻く状況の変化に適切に対処できるようになります。


一方で、看護相談に寄せられるものとしてアピアランス(見た目)に関する相談も多いです。「乳房手術による乳房の喪失・変形」、「化学療法・内分泌療法による脱毛」、「薬物療法による皮膚障害・爪障害」、「放射線療法による皮膚障害」、「手術や化学療法によるむくみ」など治療を行っている過程で生じる見た目の変化への対応は積極的に行いましょう。外出する時、仕事に行く時、人と会う時、自信を持って行動するためには見た目が大切です。それが、「自分のために生きる」ことを支える原動力となります。われわれ認定看護師はそのための相談にもお応えします。

乳房を補整するための人工乳房(シリコン、コットン、ウレタンなど)やブラジャーなどさまざまな種類を様々なメーカーが販売しています。また脱毛についても、髪の毛だけでなく眉毛や睫毛などのケアについてもアドバイスできます。髪の毛についてはウィッグが主体となりますが、なかなか合わないという方がいます。そのためにはウィッグの店で納得のいくまでサイズ合わせと試着を行いましょう。眉毛は抜けてしまう前にメイクの練習をしておきます。睫毛は付け睫毛を使用しても問題ありません。爪の変色はマニキュアで補整しましょう。使用するマニキュアも国内メーカーのものであればホルマリンやトルエンの心配はほとんどありませんので使用してかまいません。

お母さんががんであることを、お子さんにどのように伝えるかということも大切なことです。看護相談ではそうしたアドバイスもさせていただいています。お気軽に乳腺科外来の看護相談においでください。乳がん看護認定看護師が一緒に考え、納得のいくお手伝いをさせていただきます。




問い合わせ先:
東京医科大学病院 総合相談・支援センター
がん相談窓口 医療ソーシャルワーカー 保健師
TEL:03-3342-6111(代表)
※がん患者サロン「とぽす」のチラシの詳細は、PDF形式でご覧になれます。
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