東京医科大学病院




転移性肝がん

他の臓器に発生したがんが血流に乗って肝臓に生着したものを、すべて「転移性肝がん」といいます。肝臓は血流の豊かな臓器のため、胃、腸、肺、胆道(胆のうと胆管)、膵臓、乳腺、卵巣、泌尿器など、いずれの臓器に発生したがんでも転移します。転移性肝がんの治療は、がんを最初に発生した臓器により異なります。多くの臓器に発生したがんでは、がんが肝臓に転移した時点で全身病と考えるため、外科治療(肝切除)は行われません。しかし、大腸がん(直腸がんおよび結腸がん)からの肝転移については外科治療の対象となります。



ケース別の治療法

●大腸がんの手術後、しばらくしてから肝転移が発見された場合

このようなケースを「異時性肝転移」と呼びます。肺や他の臓器への転移の有無を診断し、転移が肝臓に限局されたものであれば、「外科治療(肝切除)」が基本的な治療となります。症例によっては「経皮的ラジオ波焼灼療法」が行われることもあります。肝切除に伴う肝臓機能の評価は、「肝細胞がんの治療」に準じて行われます。


●大腸がんが発見されたとき、すでに肝転移が認められる場合

このようなケースを「同時性肝転移」と呼びます。この場合も全身の診断を行い、転移が肝臓に限局されたものであれば、大腸の手術と同時に「外科治療(肝切除)」や「経皮的ラジオ波焼灼療法」が行われることがあります。ただし、転移の数が多い場合やがんが大きい場合には、大腸の手術の後に抗がん剤の投与を行い、腫瘍を小さくしてから手術を行うこともあります。


「転移性肝がん」の化学療法の奏功例


転移性肝がんの経過観察

大腸がんからの肝転移の場合、肝切除後の約70%にがんの再発を認めます。肝切除後の再発は術後の半年以内に集中します。再発予防のため、術後の一定期間抗がん剤の投与が行われることもあります。再発部位は肝臓と肺が多く、再発の数と大きさ、場所によって、手術を含めた次の段階の治療を行います。