東京医科大学病院




乳がんの検査とステージ

1.視診・触診

乳房を観察し、左右差、隆起やくぼみ、赤くなっていないかなどを確認します。触診では、しこりがあるかどうか、乳頭からの出血や分泌物、わきのリンパ節の腫れなどを診ていきます。


2.マンモグラフィー

乳房を装置に挟んで圧迫し、X線撮影する検査です。視診や触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります。撮影は、乳房を圧迫板というプラスチックの板で撮影台に押さえて、上下左右それぞれ2方向から撮影します。検査は着替えを含めて20分程度で、乳房が小さい場合でも検査できます。自治体によっては、45~50歳以上の女性に、年1回の定期検診としてマンモグラフィー検査を実施しているところもあります。

マンモグラフィー 


3.超音波検査(エコー)

乳房にプローブ(探触子)をあてて、周波数の高い超音波を送り、乳房内部から返ってくる音波の変化をコンピューターで画像に変換し、その断面図を見るものです。マンモグラフィーでしこりがあるかどうかわかりにくい場合、エコーでしこりの有無を判別することができます。多くの場合、しこりの形や境目部分の状態などにより、良性か悪性かを判断することができます。

超音波検査(エコー) 


4.病理検査

●細胞診

しこりから吸い取った細胞や乳頭からの分泌物を顕微鏡で観察し、良性か悪性かを診断するための検査です。検査には穿刺吸引細胞診、乳汁(乳頭分泌物)の細胞診などがありますが、よく行われているのが穿刺吸引細胞診です。
穿刺吸引細胞診はマンモグラフィーや超音波(エコー)でしこりの位置を確認しながら、直径0.7~0.8mmの細い針をしこりに刺し、注射器でその細胞を吸い取ります。とくに麻酔の必要はなく、準備も含めて検査時間は数分です。

細胞診 

●組織診

病変部の組織(細胞のかたまり)を取り出して顕微鏡で観察し、良性か悪性かを判断するための検査です。
細胞診で乳がんと診断できなかった場合、あるいは画像診断では良性なのに細胞診では悪性と診断に不一致がみられた場合、さらに術前薬物療法を行うにあたってがんの性質を知るために、この検査を行います。検査には、細胞診より太い針を使用する針生検と、針生検では診断がつかない場合に行われる外科的生検があります。


5.遺伝子検査

乳がん患者の5%から10%が、遺伝による「家族性乳がん」であると推定されています。乳がんの遺伝子検査は、主にこの「家族性乳がん」が遺伝しているかどうかを調べるために行われます。調べる遺伝子はBRCA1、BRCA2という2つの遺伝子です。この遺伝子のどちらかに生まれつきの変異があると、乳がんや卵巣がんになる可能性が高まります。検査は採血によって行われ、白血球から遺伝子を取り出し、変異があるかどうかを調べます。

BRCA1またはBRCA2の遺伝子変異がある場合、将来乳がんにかかる率は50~85%となっています。変異のある場所や数によって、リスクは変わります。欧米では家族性乳がんの約40%にBRCA1またはBRCA2遺伝子変異がありますが、日本人ではそれより低く、10~20%です。

女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査を受け、予防のために乳腺除去手術を行ったと発表し、話題になりました。検査の結果は陽性で、乳がんになるリスクは87%でした。これを受けて乳腺を除去し、乳房の形を保つための再建手術を受けたということです。


6.ステージ

乳房のしこりの大きさ、乳腺の領域にあるリンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって大きく5段階のステージに分類されます。

ステージ


ステージ


TNM分類はT(がんの大きさ)、N(リンパ節転移)、M(遠隔転移)による分類です。
同じステージⅠ~Ⅳの中でも、さらに細かく分けられます。


T:がんの大きさ
 T0: 視触診、画像診断で確認できない
 T1: 2cm以下
 T2: 2cm以上5cm以下
 T3: 5cm以上
 T4: がんの大きさは問わず、胸壁や皮膚の浮腫等があるか

N:リンパ節転移
 N0: リンパ節転移なし
 N1: がんがある側と同じ側のわきの下のリンパ節へ転移がある
 N2: がんがある側と同じ側のわきの下のリンパ節へ転移がある、またはがんがある側と同じ側のわきの下のリンパ節へ転移はないが、胸骨のそばのリンパ節への転移がある
 N3: がんがある側と同じ側のわきの下のリンパ節へ転移がある、または胸骨のそばやその他のリンパ節への転移がある

M:遠隔転移
 M0: 遠隔転移なし
 M1: 遠隔転移あり

 

●再発乳がん

しこりに対する初期治療を行った後、乳がんが再び発生することを「再発」といいます。通常は他の臓器に発生することを指し、IV期の乳がんとあわせて「転移性乳がん」と呼びます。手術をした乳房の領域に、再度がんが発生することは「局所・領域再発」と呼んでいます。