東京医科大学病院




大腸がんにおける放射線療法

1. 放射線について

目には見えない電子線や粒子線が大きなエネルギーを持って空間に飛び出すことを放射線といいます。この放射線をがん細胞に照射すると増殖を抑えることができます。
放射線による治療はがんの部分だけにダメージを与えるものですが、がんの周囲の正常な細胞にも影響を与えることがあります。しかし、患者さんの負担が軽い、高齢者にも対応できる、副作用が少ないなど数々の利点があるため、手術療法や化学療法とも組み合わせて行われています。



2. 直腸がんによる治療の実際

大腸がんの場合、手術療法を補うための「補助放射線療法」と痛みや出血などを和らげる「緩和的放射線療法」が行われます。
補助放射線療法は、骨盤内の再発や人工肛門の造設を避けるために行われる治療で、世界的には標準的治療ですが、国内ではあまり行われません。主な理由に、第1に日本の手術成績が欧米よりも良好である、第2に治療困難な副作用が出る場合がある、第3は放射線専門医が少ない、などがあります。術前、術中、術後とそれぞれ行われますが、手術前の実施が一般的です。
再発直腸がんによる疼痛、出血、神経症状などは緩和的放射線療法によって治療されます。約80%改善するといわれ、骨盤内の腫瘍部分や脳、限局したリンパ節や骨などの転移部分に照射します。



3. 治療の副作用

腹部内の放射線治療においては下痢、排便時の痛み、失禁などの副作用が起こります。また、外部照射の場合には赤くただれる、痒みといった皮膚炎が起こります。こうした症状はしばらく続きますが、多くの場合およそ1カ月で症状がおさまります。
副作用は放射線の照射時間によってもいろいろな症状があり、全身症状として倦怠感や食欲低下、嘔吐、白血球減少などが出ることもあります。
数年後の放射線誘発性のがんも念頭においておく必要があります。