東京医科大学病院




肺の構造・肺がんの種類・検査法・進行度

1. 肺の構造と特徴

肺は空気中の酸素を体内に取り入れるはたらきを持つ、左右二つある臓器です。重さは約1kgで、空気を交換する肺胞の表面積を一つひとつ広げてゆくと、総表面積は60m2 にも及びます。右肺は上葉・中葉・下葉の3つ、左肺は上葉・下葉の2つに分けられます。
肺の内部では、気管から枝分かれした気管支が肺の奥へと延びており、気管支の周囲には多くのリンパ節があります。

肺

肺胞の構造

肺胞は、気管支の先にある袋状の組織です。表面は無数の毛細血管に覆われており、空気中の酸素と血液中の二酸化炭素を交換しています。



2. 肺がんの種類

肺がんは日本で最も死亡者数が多いがんで、年間6万人以上に上ります。早期に発見できれば治療できますが、進行が速いため、治療が難しい状態になってから見つかるケースもあります。がん細胞は血液やリンパ液を介して全身に広がるため、血管やリンパ節が多い肺では、がんの進行が速く転移しやすいです。
肺がんは喫煙と強い関連がありますが、タバコを吸わないから肺がんにならないとは限りません。治療方針は、体の中でのがんの広がりの程度によって異なります。比較的早期の場合は手術や放射線療法、進行している場合は化学療法が一般的です。

症状

代表的な初期症状は、長引く咳と血痰です。1ヵ月近く咳が続くような場合や痰に血が混ざった時は、医療機関を受診したほうがよいでしょう。これらの症状は、がん組織による気管支の閉塞や、もろくなっているがん組織からの出血が原因です。
進行に伴って見られる症状には、痛みや他の臓器への転移によるものがあります。がんが胸壁や肋骨などに入り込んでいくと、痛みが出てきます。また、呼吸困難や声が枯れるなどの症状が出現することもあります。脳への転移では頭痛や吐き気、骨への転移では腰痛などが見られます。

中心型肺がん・末梢型肺がん

肺がんは、肺の入り口に近い太い気管支にできる「中心型肺がん」と、肺の奥にできる「末梢型肺がん」に分けられます。
中心型肺がんは、早期から咳や痰・血痰などの症状が見られることが多いため、それらによって発見につながることがあります。一方、末梢型肺がんは、がんがある程度の大きさになるまでほとんど症状が現れず、症状が現れた時点では既に進行しているケースも少なくありません。

肺がん

小細胞がん・非小細胞がん

肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんに大別され、非小細胞がんはさらに、扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんに分けられます。小細胞がんは小さな細胞がぎっしりと集まっており、進行が速く、転移しやすいですが、抗がん剤がよく効くタイプのがんです。非小細胞がんは肺がんの約80%を占め、進行度に応じて手術、放射線療法、化学療法が行われます。


3. 肺がんの検査方法

同じ肺がんでも、中心型と末梢型では検査の方法が異なります。

中心型肺がんの検査

痰の中にがん細胞がないかどうかを調べる「喀痰(かくたん)細胞診」が有効です。自治体の肺がん検診で行われているので、喫煙習慣がある50歳以上の人や、最近血痰が出たことがある人は受けてみましょう。方法は、まず、医療機関から3日分の検査キットを受け取ります。起床後にうがいで口の中をきれいにし、大きく咳払いをして保存液が入った袋に痰を吐き出します。3日間続けて採取し、医療機関に提出します。患者さんの体への負担はありません。

末梢型肺がんの検査

胸部エックス線検査: 一般的な健康診断で行われる検査で、2cm程度のがんを発見できます。最も基本的な検査ですが、がんが心臓や骨などと重なって写っていたり、写りが弱いと発見が難しいこともあります。
胸部CT検査: 人間ドックで行われる場合が多く、画像の精度が高く、胸部エックス線検査では見つけるのが難しいがんも発見できます。ただし、放射線の被ばく量が増すという問題点があります。40歳以上で喫煙歴がある方は、受診することをおすすめします。

肺がんの確定診断

肺がんが疑われた場合は、「気管支鏡検査」「経皮的針生検」「胸腔鏡検査」によって、さらに調べたうえで、診断が確定されます。診断が確定したら、がんの種類や進行度も調べ、治療方針を決定します。

気管支鏡検査: 内視鏡の一種である「気管支鏡」を口から挿入し、がんが疑われる組織の一部を採取します。局所麻酔下で行われるため、痛みはほとんどありません。確定診断のなかでは、最も基本的な方法です。
経皮的針生検: 皮膚の上から針を刺して組織を採取します。がんの発生が疑われる部位が、体の表面に近い場合に用いられます。
胸腔鏡検査: 胸に小さな穴を3か所開け、そこから内視鏡を挿入して組織を採取します。気管支鏡検査や経皮的生検では診断が難しい場合に行われます。

4.進行度

肺がんの進行度は、「T(がんの大きさと周囲への影響の程度)」、「N(リンパ節転移の有無と程度)」、「M(ほかの臓器への転移の有無)」の3つの因子から、大きく4つのステージに分けられます。

ⅠA期

ⅢA期

ⅢB期


ⅡB期