東京医科大学病院




胃がんにおける化学療法

化学療法

1. 状況の把握と薬剤の種類

胃がんの化学療法は、他の治療法との組み合わせを考慮しながら行われます。また、患者さんの状況については心身の状態のみならず家族環境も重要で、通院や日常生活などのサポートを視野に入れた調整が必要となります。
一般的に使用されている薬剤は、5-FU(フッ化ピリミジン系抗がん剤)、TS-1(フッ化ピリミジン系抗がん剤)、シスプラチン(白金錯体)、イリノテカン(トポイソメラーゼ阻害剤)、パクリタキセル(タキサン系抗がん剤)、ドセタキセル(タキサン系抗がん剤)などで、多くはこの中から1〜3つを組み合わせて使用されます。


2. 副作用の現状とその評価法について

近年、通常の仕事を続けながら外来通院で行う化学療法が増えてきており、抗がん剤による副作用は軽減されていると考えられています。化学療法を継続している間での入院を要するような副作用の出現頻度はそう高いものではなく、生命が危険になるような副作用の頻度は約1%といわれています。
化学療法の副作用に対する評価法は、「有害事象共通用語基準v4.0日本語訳JCOG版」によって行われており、重症度によって0〜5段階に分類されています。


Grade
1:軽症
2:中等症
3:重症
4:緊急処置を要するものや生命を脅かすもの
5:死亡

Grade3以上は重篤な状態と考えられ、抗がん剤投与の減量や中止が行われる場合があります。


3. 副作用の種類

●嘔気、嘔吐

最も多い副作用のひとつで、これに対しては制吐薬適正使用ガイドラインによって制吐薬が投与されます。

●食欲不振、下痢、口内炎、脱水

食欲不振に対する薬剤はなく、できるかぎり食事を摂るようにしてください。下痢については脱水症状にならないように水分の適度な補給が必要です。口から栄養が摂取できない場合には脱水予防のための補液(栄養分の点滴)が必要になる場合があります。

●骨髄抑制症状

骨髄抑制症状では赤血球や白血球、血小板などの産生が抑制されてしまうため、発熱や貧血が起こります。38℃以上の発熱があった場合には、感染症の併発の可能性があるため血液検査を行い、白血球減少による感染症に対しては、抗菌薬の点滴投与や顆粒球コロニー刺激因子製剤の投与を検討します。また、貧血がひどい場合には、赤血球輸血や血小板輸血を行います。

●その他

フッ化ピリミジン系抗がん剤が投与されている場合には、高アンモニア血症による高度意識障害が起こる場合があります。